残酷すぎる成功法則 エリック・バーカー 著 橘玲 監訳 竹中てる実 訳


残酷すぎる成功法則

「事実」を正しく認識する重要さを説く本

本書は監訳者でもある橘玲氏の『言ってはいけない』にも似たようなテイストの内容の本で、

事実としてはこうなんだけれど、それを事実として認めるのは辛いなぁ…ということを、その
裏付けとなるエビデンスを示した上で明らかにしていきます。

多くの一般人が常識として認識している様な、たとえば「成功した人生を送るには、成績優秀
なほうがよい、少なくとも有利だ」「外向的な性格で社交性がある」「とにかくポジディブ
思考で不安を感じにくい」などの要素が、実はそこまで成功とは相関していない、という事を
示していくのです。

それはある意味では、学校の成績が並以下だったり内向的でネクラな私のような者にとって、
希望の光をもたらすものでもあるかもしれません。

この本が「残酷すぎる」とタイトルについているのには、これまで一般常識で信じられていた
「一生懸命勉強していい大学に行き、大企業に入ってあとは定年まで身を粉にして働くことが
成功への最短ルート」である、
といういわば社会の共通認識に、エビデンスを以て否定するところにあると言えるでしょう。

これまで頑張ってきた人には本当に残酷というか、お気の毒にとしか言いようがありません。
まさに本書の原題である「間違った木に吠える」…無駄だってことですね。残酷です。

2020年6月に文庫版が発行された

本書が初めて日本の書店にならんだのは2017年6月のこと。Amazonの注文履歴を見たら、
そのすぐ後に私も購入していました。

しかし読んだはずの本書の内容はすっかり忘却のかなたへ消え去り、この度発行された、
文庫版を書店で見つけて引き付けられる様に購入しました。

全く同じ本が家に2冊あるって、積読家あるあるですよね。

そんな忘れてしまう様な内容だったのか?というとそうではなく、都合の悪い事実は記憶から
消えてしまうという脳の機能によるものだと思いたいですね。

今回文庫版を改めて読み直して思うのは、新型コロナウィルスの騒ぎの影響で世の中が激変
していく中で、この本にあるような視点を重視すべきだなあと強く思うのです。

すなわち、「出来る限り偏見の取り除かれた正しい事実を認識」することと、そこから「どう
すれば自分にとって無理なく望む状態になれるかを考える」ことです。

本書で触れられている成功者は、これまで一般人が思い込んでいたような常識とは異なる、
いわばちょっとオカシイ人的な要素を持っていることが多いようだと思いました。

一般的な大多数の人が、「成功者」ではないように、一般大衆と同じ様にしていたら、成功者
という”特殊な存在”にはなれるわけがない、と言うことです。

その他大勢の普遍的な存在から抜きん出るには、一般的には成功とはかけ離れているような
例えば「コツコツ積み上げていく」とか、「いろいろなことに挑戦し続ける」などの、
真面目に、地道に、という方法を、一般的な水準より飛び抜けてハイレベルなところまで
続けていくということになります。

言ってしまえばただ「続ける」だけだったり、興味が湧いたものには言い訳せず「挑戦する」
ということになります。

なあんだ、そんなことなら簡単にできるわ。簡単に出来るから今日じゃなくてもいいや。

って、思うのがこれまでの私であり一般的な凡人の思考。
抜きん出る成功者は、そんなことを思う前にすでに始めています。
そういう小さな差が、大きな違いを生み出すという「残酷な事実」。

今からでも遅くない、と信じて私もコツコツと積み上げていくことに挑戦しています。

「成功法則」っぽいものの検証がメイン

上記のように、いわゆる成功するためにはコツコツ続けることなどの地味な手続きが必須、
という結論(これは最近の成功法則的な本でも目立ってきました)に至るわけです。

しかしそこに至るまでに、世の中で成功するために必要もしくは有利になりうる要素について
その要素を持つ人物を追跡調査するなどの過程が書かれています。

そうした「成功するはずの人々」がそこまでパッとしない現実や、逆に成功とは程遠いような
人が大きな成功をしている(そしてそう言う人は「成功者には見えない」)事実なども明らか
になっていき、何ともいえない気分になります。

前時代的な根拠が曖昧な「成功法則」に思考が縛られている私たちにとっては、この本の内容
を知って受け入れることは、事実へ近くための最初で最大の難関とも言えるでしょう。

感想、まとめ

本書を通じて思うことは、「本当の成功者に教わった成功法則を知らない」と言うことです。

勉強が大切なのはわかりますが、それが例えば社会的成功に繋がるわけではありません。
たしかに勉強ができる=頭の使い方が上手い、という能力は、新しい事を考えて上手に振舞う
ことには有利になるでしょう。

しかし頭がいいとされる人は、上手くいくイメージと同時に失敗するリスクをも同時に思い
浮かべることができます。そして人は失敗の方が強く印象に残り、挑戦を諦めます。

そう言う意味では、あまり考えすぎず、上手くいくまで挑戦し続けることができる人こそが
成功者になりうる人であると言えるのかもしれません。

今、私たちが思い描く「成功法則」は、中には本やインターネットなどから得た情報を元に
しているものもあるでしょうが、根底にあるのは家庭や学校で深く深く植え付けられた価値感
ともいえそうです。

そうした無意識レベルに根を下ろした価値感、つまり成功者ではない思考が、私たちを、この
「残酷すぎる事実」を直視する事から目を逸らしているとも考えられます。

しかし本書のような都合の悪い事実を事実として認め、ではこれをスタートとしてどのように
考えて行動につなげていくのか?と実行できたときに、これまでの非成功者から聞かされた
成功しない「成功法則」からの脱却が実現するのだと思います。

2020年の今のタイミングで本書を再読できたことで、私自身の思考もかなり変化していること
に気づくことができました。

それは、本書の内容を読んでも違和感がなく、そうそうその通りですねーと納得感が生まれる
からなのです。

以前に本書を読んだ時にはまだ会社員として働いており、本書にあるような事実を知っては
いたけれど、まだ会社員として頑張ることに希望を見出そうとしていました。

しかしその立場を捨てて1年間もフリーでい続けると、思考がクリアになって「外部の影響で
そう思わされている」という部分が激減していきます。

その結果として本書の主張のような価値観が、スーッと心に馴染んでくるのです。

コロナによる社会変動が有利というか私にとってはそこまで困難をもたらすものではなかった
ということもありますが、これまで当たり前とされていた状態(=会社員として組織に属す)
から脱却したことは、成功者へのステップを少しだけ前進させたような実感があります。

おまけ

ちなみに本書の文庫版には、コロナ後の世界について原著者が書き下ろした50ページほどの
内容が増えています。当たり前のことですが、それを改めて文字として読んでおくことは、
自分の生活を振り返る機会にもなってオススメです。

それから、どうせ読むなら文庫版ですね。安いし。

原著者自身のブログURLが「bakadesuyo.com」で、これは苗字のバーカーと日本語
の「バカ」をひっかけたものなんですって。
そういうお茶目なところがとても親近感を持ちますよねー。