悪魔とのおしゃべり さとうみつろう著

自己啓発・ノウハウ系

悪魔とのおしゃべり

『神さまとのおしゃべり』の続編

さとうみつろう氏の著書『神さまとのおしゃべり』とは別の視点から(神から悪魔)、善良になろうとして苦しむ、正しくあろうとして苦しむ、その理由について「悪」の面からアプローチしていく本です。

悪の面と言っても、社会通念や常識、正しいとされること、善良とされることなど、私たちが「こうあるべき」と思いがちな価値感について疑問をもつことを「悪」としているだけで、結局突き詰めていけば同じ結論に至る…という内容です。

前著の『神さまとのおしゃべり』を読んで、その内容について納得が行った人はきっとすんなり受け入れられるでしょうし、そうでなかった人も前著とは異なったアプローチでの「人生の意義」のようなものに迫れるので、オススメできる本です。

神さまと悪魔に象徴されるような二元論から物事を考えたり判断する習慣が身についていると、どうしても唯一絶対の「正しいこと」が存在しているように錯覚してしまいます。

しかしそれは立場が違えば正しいと言えるとは限らず、また悪とされる価値感も立場や環境が異なれば正しい、望ましいとされることがあります。

頭ではそう理解していても、いざ自分の価値感に反することが目の前に突きつけられると、どうしても自分が正しいということを証明したくなり、価値感の異なる相手と衝突してしまいがちです。

本書では、なぜ価値観の異なる人がいるのか、そのような人たちは自分(読者それぞれ)にとってどんな意味があってそこに存在しているのか?などと言ったことを深く掘り下げていきます。

「人間スーツ」理論というどこかで聞いたことがあるような、この世界の外側の存在や仕組みについても言及されており、自分が自分という人間として存在していること自体が、どんなに尊いことなのかということまで理解できるものになっています。

悪魔とのおしゃべりというタイトルから想像するに、一般的に正しいとされていることや道徳的であることに対する挑戦や反対の価値感への考察という内容かなと思うのですが、そこからさらに踏み込んで、あらゆることが素晴らしい存在なのだという全肯定へ繋がっていきます。

”思い込み”を外すための第一歩、そして全肯定へ

悪魔とのおしゃべりを通じて得られることは、自分が正しいと思っていることは本当に自分が正しいと思っていることなのか?その根拠は?という疑問を持つことです。

「正しい」とされることは、周りのみんながそう信じているから「正しい」と認識しているだけであり、そう信じていない人たちの中に入ったら、それは正しいとは言えなくなります。

また自分は確固たる自分であり他の人とは全く別の存在であるという思い込みも、もともと一つだった宇宙の要素のうち、たまたま私やあなたという要素に別れて存在しているだけの話かもしれません。

ではなぜもともと全てを含む1つだった宇宙の素が、わざわざ別の存在として分離させてお互いに影響を与え合うようになったのかと言えば、それは全てを含む1つの状態では「体験」が全くできず、なにも起こらないからであると仮定します。

だから私たちが体験するあらゆるものが宇宙の素にとっての目的であり、その体験(辛いことも悲しいことも楽しいことも嬉しいことも)を得ること自体が尊いことなのだとなります。

さまざまな立場や環境、時代の人がいますが、それぞれの人がそれぞれの視点でしか見ることができない世界というものがあります。

しかしどんなに些細なことでも一人一人の視点は、唯一無二の視点です。

そんな貴重なすべての人の経験を全て経験しつくし、最後に経験しているのが今生きている自分の体を通じた人生の経験、と仮定したとすれば、どんなにつまらない人生だと自分で思っていたとしても、「つまらん人生だ」と思うことが貴重なことになります。

この考え方を取り入れたら、あらゆることが素晴らしくてかけがえのない経験になり、どんな些細なことに対しても感謝の気持ちが湧いてきます。

そして感謝の気持ちこそがもともと一つだった状態に近づくためのエネルギーであり、今の分離された状態の私たちにとってもよいことが起こる(見えてくる)ようになるきっかけになります。

長い長い500ページを大きく超える本の結論としては、「かけがえのない今目の前で起こっている全てに感謝しようぜ!」みたいな感じになるのでしょうか。

この結論に至るまでのプロセスを経て、すべてのものが完璧に用意されていてその全てがかけがえのない貴重な体験なのだということが理解できるので、感謝する気持ちが自然と湧いてくるようになってきます。

だから結論がシンプルだからと言って、読むのやめるのはオススメしません。

結構売れた本だし、きっと図書館とかにもあるだろうからぜひご一読くださいませ。

 

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