資格は敗者復活の手段【おじさんは、地味な資格で稼いでく。 佐藤敦規】

おじさん向け敗者復活の戦略

本書は2021年2月に出版された、比較的新しい本だ。

だから本記事を書いている2022年3月も、そこまで陳腐化した情報ではないと言える。

内容からしてすでに時代遅れの方法のようにも思えるが、実はそうでもないということが本書を読むとわかる。

そんな本書は、努力が報われず年齢ばかり重ねてしまい、この先どうしたらいいのかわからないと不安になる「おじさん」たちへの福音書だ。

本書の著者が50歳にして社会保険労務士を取得し、その後会社員時代よりも大幅に年収を増やすことに成功した経験をもとにモデル化した、起死回生のノウハウ。

本書の想定ターゲット層は50歳前後で管理職になれなかったおじさんたち。

体力面でも衰えが隠せない年代のおじさんでもできる、人生後半戦の攻略法。

わざわざ苦労して取るまでもないだろう、という資格たちを使った、敗者復活の最終手段。

それが今、明かされる。

今さら資格?だがそこに勝機がある

正直、今更資格かよって思う。

私もそれなりに資格を取得しつつ仕事をしてきた経験があり、資格なんて「足の裏についた米粒だ」くらいに思っている(つまり、取らねば気になるが、取っても食えるわけではない、ということ)。

だが、資格と言ってもその特徴はさまざま。ちゃんと食える資格を取らなければダメなのだ。

では食える資格とはなんなのか。

今や弁護士でさえ年収100万円なんてこともザラだ。

士業だってAIの発達で不要になると言われている。

そんな時代に食える資格などあるのか。

実はある。

著者が取得した「社会保険労務士(以下、社労士)」をはじめとした「独占業務」がある資格だ。

資格取得後、その資格を元に独立ができる資格である。

なぜ「地味な資格」なのか

本書では著者が取得した社労士や同じく独占業務のある行政書士、宅建士、土地家屋調査士について紹介されている。

これらのほかにも独占業務が設定されている資格はあるし、もっと稼ぎやすそうな資格も存在する。

例えば弁護士や司法書士、税理士、弁理士などだ。

これらの資格はまさに「士業」としてのイメージそのものだ。

稼ぎやすそうなイメージに劣らず、その取得には膨大な時間をかけて勉強する必要がある。

かなりの難関資格だ。

そんな難しい資格、50歳のおじさんが目指すにはハードルが高すぎる。

仮に取得できたとしても、これらの難関資格は若い時からその道の勉強をしてきた人たちがライバルとなる。

とてもじゃないが起死回生どころではない。

一方で、本書で紹介されている資格は、上記の資格に比べて取得が容易で受験者の平均年齢も高め。

特に社労士は受験者の平均年齢が40歳程度で、合格者のうち3割が50歳以上というデータもある。

社労士の業務は主に企業の労務環境についてを扱うことも、企業で長年働いてきた経験がある方が実務面でも有利になりうるのだ。

行政書士や宅建士、土地家屋調査士についても、誰でも受験できるが難易度が高く、今さら食えないと思われている資格だ。

だが、食えないのではなくて個人相手でないせいで稼ぎどころが見えていないだけ。

法人相手の業務が主だから、個人相手よりも安定的に大きく稼ぐことも可能なのだ。

そうしたメリットが見えにくく「稼げない資格」と思われているため参入障壁が高く、競争もそこまで激しくならない。

仕事をしながら勉強するという、普通はやらない努力をする必要があるが、裏を返せば勉強さえすれば確実に資格が取れて稼ぐことができる資格なのだ。

これら目立たないけど稼げる資格のことを、「地味な資格」として取り上げている。

資格取得は通過点

地味な資格の魅力がわかったら、その資格を手にするための方法も紹介されている。

著者自身がイマイチなおじさんから稼げるおじさんに進化したからこその、リアリティ溢れる対策法だ。

私も参考にして、行政書士試験の対策に生かそうと思う。

私が数年前、社会福祉士の取得のためにスクールに通った時のアドバイスに似ているが、さらに「おじさん用」にカスタマイズされた方法が記載されている。

ただし本書は「地味な資格」がいかに素晴らしいか、そしてその資格はいかに稼げるかを論じることが本題のため、受験パートは合格する前提で話が進んでいく。

そういうところも、読者が資格をすんなり取得するものだと思い込ませる力がある。

あえてそのように書いていることも考えられるが、やはり資格は取った後の行動が重要なのだ。

資格コレクターになってしまっては、資格を生かしきれているとはいえない。資格は使ってこそ輝くものだから。

資格を取ったら稼ぐのだ

本書の目的も資格を取って稼ぐことだ。

だから資格取得後の行動についてはかなり詳しく書かれている。

雇われの身でいる期間が長いと、どうしても資格を取った後の行動が鈍るもの。

でもその状態では資格はただの勉強の成果でしかない。

受験モードになっていると、どうしても合格して資格を得ることがゴールになってしまいがちだ。

試験を受けるまでは、確かにそのつもりで動かないと勉強に集中することが難しい。

試験までは正しい態度だ。

しかし試験が終わって資格を得たのなら、そこがやっと「地味な資格で食っていく」ためのスタートラインになる。

やっと始まったのだ。

だからそこから如何に仕事をとってくるかが最大のテーマになる。

すぐに独立して、実務の中で集客を含め学んでいくのがよい、とも著者は言っている。

たしかに現場に出てしまえば、有資格者としてプロフェッショナルの扱いを受ける。

責任も一人前。

新人だからと言い訳も通じない。

だから急激に成長することができる。

とはいえ最初から生活できるくらい稼げるわけではないから、アルバイトをして今までしらなかった世界を体験しておくのもいいようだ。

社労士や行政書士は、さまざまな人を助けることになる職業だ。

だから仕事を始める前に、色々な産業に携わる人々の生の状態を見たり体験しておくことは、その後の仕事の質にも良い影響を与える可能性がある。

さらにアルバイトなどのこれまでにない人との繋がりから、新しい仕事につながる可能性だって存在する。

取得した資格についてだけではなく、広く社会と接点を持つことがこれらの資格を通じた仕事には役立つのだ。

独立後に大切なこと

実際に起業や転職をした後のマインドについても触れている。

本当に資格とって独立するためのノウハウが網羅されている本だ。

特に重要だなと思うのが、料金設定の部分。

金額の大きな仕事でも、時間をかければそれだけ時間単価は低くなり事業が成り立たなくなる。

だから時給換算して効率化していくことを目指す。

文字で読むと当たり前のことだと思うのだけれど、実際に仕事をとって業務をやっていると、受注できたことが嬉しくて時給単価に意識が向きにくいところがあると思う。

すごく働いているのに報酬がついてこない。

そんなことはよくあるのだそう。

私も古本屋事業で似たようなことが起きたことがある。

この本は資格を取って独立する以外の起業でも、役に立つマインドセットの方法が書いてある。

なんだかすごい本だ。

まとめ・読後感

本書のタイトルが非常に印象深く、読まずにいられない非常に興味を引く本であった。

まだ30代で、おじさんとしては若手の私でも今のうちからこの本にある方法を活用して、50歳くらいになるころには事業を確立できているくらいにはなっておきたいと思った。

50歳の時点でやれる前提で書かれているのなら、私が今から頑張れば多少は楽にできるのでは?という気持ちもかなりあった。

本来の想定読者である50歳くらいのおじさんたちには申し訳ないけれど、私もおじさんの端くれとして、行政書士の資格を取得することを決心したのである。

完全にこの本の影響。

行政書士になれば、すでにやったことのある申請業務(古物商申請、車庫証明申請など)でお金になる。

そう思った。

簡単に稼げればもっとこの本のやり方を実践している人がいるはずなので、きっと資格取得からの稼ぐことはそれなりの苦労があるのだろう。

それでもこのまま何もせずに流されっぱなしでいるより、自らを律しつつ試験勉強を継続して資格を取ることは、自分自身を鍛え直す絶好のチャンスになるのではと思う。

おまけに資格も取れちゃうなんて、これはもうやるしかないでしょ。

おじさんは、地味な資格で稼いでく。
クロスメディア・パブリッシング 2021年01月29日頃
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