古本屋の四季 片岡喜彦 著

古本屋の四季

定年後の古本屋開業に関するリアルな記録

本書は著者の片岡喜彦氏が、30代のころの夢でもある古本屋を開業し、その運営の日々をこまめに書き綴った記録を本にまとめたもの、という体裁。

これから古本屋を開業したい、実際に開業したらどんな感じなのか?などの1つのケースとして参考にすることも有意義な読み方です。

また、古本屋開業などではなく、単に古本屋が好きだという人にとっても、古本屋の店側の視点というものも新鮮でかなり楽しめる一冊となっています。

読み進めると店主と一緒に成長している気分に

本書を読み始めると、初め古書店の開業前から古物商の申請、古書組合への加入、店内の改装などの開店準備から始まります。

そして開店後にはユニークなお客さんやちょっとした事件なども紹介され、古本屋の番台に座っているかのような気分にもなっていきます。

側から見てあまり刺激的ではなさそう、と感じていた古本屋の店主ですが、そうした店側の実情を何ひとつ知らずにいた私にとっては、ただ本を読んで店番をしているだけ、というイメージが覆される内容でした。

淡々と、でも確実にしっかり毎日を過ごしていくことの大切さも感じられます。

儲けは狙っていないけれど…

店主で著者の片岡氏は、たびたび儲けを狙って営業しているわけではなく、定年後の楽しみとしてやっているということを書かれています。

収益第一で古本屋を開業したら、それはかなり苦しい経営になるであろうことは、素人の私でもなんとなく予想が付きます。

好きだからこそ古本屋をやる、その姿勢が大切であることがわかります。

また、そのような姿勢だからこそ収益がそこまで大きく出なくても、時に赤字が発生しても、そこで挫けずに続けられる原動力にもなるんだろうなあとも思います。

本書の帯に書かれているように、開業して10年も続いているということがお店の経営姿勢として正しかったのだという証明にもなっています。

日々特に派手なことをしているわけではなく、地道にコツコツと毎日楽しみとしての古本屋をやっている、その積み重ねが10年以上にもなると、そのこと自体がとても偉大な実績であると思えるようになってきます。

著者の綴る日々の古書店の状況を読み進めていくと、かなり「古書片岡」に対する愛着というか親近感をもってしまい、10年も続いているんだということに対する感慨深さすら感じます。

そう思わせるだけの実績もさることながら、著者の書く文章が優しい雰囲気を纏い、いつしかその心地よい雰囲気に巻き込まれている、そんな風な読後感を得た本でした。

古本屋やってみようと思うなら、この「古書片岡」流のやり方もあるんだということが、大いに参考にもなり、自分流の経営に生かせるところがあれば取り入れてみるのもよさそうです。

がっつかずに古本屋自体を楽しむ。

古本屋をなぜやりたいのか、の原点に立ち返ることの大切さも学ばせて頂いた一冊。