脳のパフォーマンスを最大まで引き出す神・時間術 樺沢紫苑 著

脳のパフォーマンスを最大まで引き出す神・時間術 樺沢紫苑 著

精神科医が書いた時間術の本

この本が書店で特に目を引いたのは、その表紙のデザインが秀逸であること。

精神科医が書いたから、というだけでは表現し得ない表紙で、これは確実に効果がありそうだ
と勝手に思わされてしまう仕掛けがあるように感じました。

あなたの24時間科学的2倍にする!

精神科医の「医学的メソッド」×アメリカ式の超効率的な「時短術」

といった、ブログ上で文字にするとビジネス書にありがちな文言ですが、一つめは縦書き、
二つめは横書き、そしてタイトルが真ん中に大きくあり、「神」という文字が色違いで記載
されているというデザイン。

初めて見たときには、この本はすごくマーケティングがうまい…と何かゾッとしたのを覚えて
います。もう買わずには居れぬ状態でレジへ。

そのくらいの魔力といってもいいほどの”圧”がこの本の表紙からは感じられました。

新刊は普段、滅多に買わないのに…

私は大量に読書する習慣があるのですが、その本はほとんどが中古か図書館の本、または
Kindle unlimitedで読み放題の電子書籍で賄っています。

ごく稀に新刊を買うこともありますが、そのときには念入りに本をチェックして、一つ以上、
何かすぐに役立って使えそうな知識が見つからないと買わないようにしています。

特にビジネス書は昔書かれた名著と言われる本の、部分的な再解釈だったり実践記だったり
することが多く、滅多に役立つことがありません。

しかし本書は、上述したように表紙買いなんです。
著者名を見てなんとなくYouTuberの医者か、くらいに思って買ってしまったのです。

恐ろしいことです。私がそういうのにかかりやすいせいかもしれませんが。
とにかく中身を確認せずに買ってしまったのです。
そして実際読んでみたら、やっぱり書き方がうまいんです。

プロの作家なんだから当たり前でしょ、と思うでしょうけど、医者本人が書いた本というのは
大抵が難しくて言い回しがまどろっこしいというイメージがあったのです。

それがとても読みやすいしすぐに実践できるイメージが湧いてくる。
気持ち悪いほどにスルスルとわかるような文体というか構成。
またまたゾッとしましたね…。

著者について

そんな騙されやすい私をまんまとレジに連れて行くような本を書いたのは、この方。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
1965年、札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。
Facebookやメールマガジン、Twitter、YouTubeなどインターネット媒体を駆使し、累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識、情報をわかりやすく発信している。
月20冊以上の読書を大学生の頃から30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、年間ビジネス書ランキング第10位(オリコン)、15万部のベストセラーとなっている。
主な著書は、『脳を最適化すれば能力は2倍になる』(文響社)、『ムダにならない勉強法』(サンマーク出版)、『「苦しい」が「楽しい」に変わる本』(あさ出版)など20冊以上。

-本書奥付より引用-

精神科医であるからには心理学や脳科学の知見も広いでしょう。それに、かなり年季の入った
読書家でもあります。

本文を読んでから知りましたが、かなり昔から時間管理や文章の執筆を続けてこられたようで
文章がとても読みやすく、論点が明確なのはそのせいもあったのかもしれません。

たくさんの場数を、しっかり課題を意識しながら踏むことが大切なんだと再認識です。

自らも忙殺された経験が、時間術の信ぴょう性を高める

本書が書かれるにあたり、もしかしたら著者なりの読ませるテクニックなどが使われているの
かもしれません。

私の印象としては、著者自身の勤務医時代の忙しさが大きな影響を及ぼしているのでは、と
思いました。

辛い経験の当事者が語る言葉ほど、重く深く響くものはありません。

当時のエピソードはおそらく本書の主題に深く関わるわけではないので、さらっと書かれて
いるに過ぎませんが印象的でした。

こういった表現をする方法があるんだ、ということと、大学の医局で研究とか英語の論文とか
まるで意識高い系の人々が自慢するようなことが、嫌味なく書かれていることにも驚きです。

さらっと、本当にさらっと触れているだけ。

そういう書き方の方が印象に残るというか、その後の主題を展開するときのベースとして、
しっかり心に残っているんです。

時間術に入る前にかなりの衝撃を受けていますが、時間術に関してもすぐ実践できて効果的な
方法がたくさん記載されています。

本書の内容について

この本のメソッドは、著者が勤務医時代に忙殺された経験から、長い時間をかけて編み出した
とも言える時間術と言えるものです。

ただよくある「時間管理」の時間に焦点を当てただけではなく、そもそも人間の生活リズムの
うちで、パフォーマンスが高くなる時間や、そのパフォーマンスを維持するための休憩方法、
疲れた脳をリセットする運動などについて紹介されています。

従来の意味での時間管理、ということなら1ページ分の図のみ、ではないでしょうか。

まさに人間が時間を管理する、という視点が入った、無理のない時間術です。

朝、昼、夜のハイパフォーマンスを維持する過ごし方

1日のうちで最もパフォーマンスが高いのは、ご存知の方も多いように「朝」です。

そのため朝に頭を使う仕事をするのがいいと言われていますが、実際に夜の4倍の効率で仕事
が進められるそうです。朝の30分は夜の2時間。
これじゃ夜遅くまで残業するのは無駄ですね。

そこでスッキリ目覚めるための方法が5つ載っています。
①朝シャワーを浴びる(交感神経優位にする)
②カーテン全開で寝る(朝の光で目覚める)
③不動明王起床術(5分間、目を開けて過ごす)
④リズム運動(ラジオ体操や散歩)
⑤朝食はしっかり咀嚼する
これらを実践してスッキリ目覚めるためには、前日の夜から気をつけることがあります。
寝る直前にテレビを見ない、物を食べない、といった安眠に向け準備が大切です。

本書に書かれている方法をうまく回すためには毎日同じリズムで生活を続け、これを繰り返す
ということが大切と説かれています。

メソッドを使って「リズム」を作る

時間を管理する、ということで言えばこの「毎日同じリズムで」というものが最重要です。
週末の寝溜めなどはもっての外、リズムが崩れて余計に疲れてしまうと言います。

この他、集中力が下がってくる午後には仮眠や運動をする方法などがあり、その時その時で
最高のパフォーマンスを維持しつつ、疲れを残さないようにするための、1日のルーチンを
作っていくようなイメージが大切になるように思います。

本書でも、朝には集中して知的労働、昼はランチで散歩がてら外食へ、午後は仮眠などを
取りつつパフォーマンスの維持と疲労回復、夕方には運動でリセット&一仕事、夜は良質な
睡眠に向けたOFFモードの過ごし方、というような流れになっています。

この方法で圧倒的な成果を出しているという著者のように、私たち読者もまずは模倣して、
自分の生活リズムを整えるところから始めて見るのがいいでしょう。

読後感、感想など

この本の著者はYouTubeやfacebookでもかなり露出があり、なんとなく名前を知っている
という状態で本書を読みました。
潜在意識にその存在が刷り込まれていたから、疑いもなく購入したというのもありそうです。

私はちょっと騙されやすいタイプなのかもしれませんね。

しかし実際に読んでみた感想としては、自分の生活リズムを見直すいい契機にもなりますし、
表紙の裏に書いている

「時間の使い方」は、あなたの「人生の使い方」だ!

という一文がすごく刺さってきました。1日の過ごし方は人生の縮図であると。

当たり前のことなのですが改めてこう事実を突きつけられると、人生とは毎日の積み重ね
じゃないか、とはっとさせられるのです。

つまりこの本のように効率を最大限に高めていくことで、やってみたいこと興味あることを
片っ端から取り組める可能性が出てきて、充実した人生というやつが実現するのです。

時間術とはそれほどまでに重要なメソッドなのです。

著者が巻末の「おわりに」で書いていますが、まさに人生の自由時間を増やすことで、家族と
過ごす時間を確保し、自分の趣味や好きなことに没頭する時間を得て、しっかり休息し、熱心
に仕事にも取り組めるようになるのだと言います。

日本人全員がもしそのようになれば、うつ病や自殺者がいなくなるのではないかという思いで
本書を書いたというのです。
精神科医であるからこその視点ですが、今の日本人にはこうした考え方が必要だと思います。

労働時間が長いのに生産性が低い、と言われています。
しかしそれは、効率の悪い夜の残業などが多いせいであり、朝に集中的に仕事ができるように
なるだけでも生産性という意味では飛躍的に向上するポテンシャルを秘めているでしょう。

あとは残業することによるメリット(=残業代)よりも、朝早くから集中して仕事を進める
ことのメリットが大きくなるような行動誘引があれば心強いですが…。

まずは個々人のマインドを変えて、そこからの行動変容を促すのが先決ですね。