お金持ちになれる黄金の羽の拾い方 橘玲 著

5.0
自己啓発・ノウハウ系


新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)

 

お金持ちになるきっかけを見つける目を養う本

「お金持ちになれる黄金の羽根」とは、つまるところ社会制度や人々の認識のズレ、歪みに
一瞬だけ現れるようなチャンスの事で、それを見つけるためにはある種のセンスが必要だ、
という風に私は読みました。

つまりは「知識」が武器になる時代であるということです。

21世紀になろうかという頃から、既に知識(=広く情報も含む)を持つものが優位に事を運ぶ
ようになってきました。

しかし当時は未だインターネットなどの通信技術が未熟である事や、普及率が低かった事、
人々のメディアリテラシーが低かったことなどから、こうした「お金持ちになる知識」自体が
一部の人たちにのみ知られる、「秘密の情報」として扱われていました。

ところが昨今の通信技術の発展、スマートホンの普及によって、情報技術の普及が爆発的に
広まり、今やスマホを持っていない人間を探すのが大変と言うくらいになりました。

情報を利用する層の裾野が広がれば、その発展も加速度的に早まります。

そして知識の共有やブラッシュアップも加速されていき、あらゆる情報・知識はコモディティ化
していくこととなります。

多くの人がその意思さえ持てば得られるようになった情報ですが、だれもが知りうるように
なった代わりに、すぐに陳腐化してしまう。

この本は、その陳腐化する前にチャンスを捕らえて活用して余計な出費をせずに済ませて、
もらえるお金はしっかり正当性を認識して申請して受け取ろう、ということを言っています。

だれもがあらゆる情報にアクセスできる様になったとは言え、その情報の見つけ方や扱い方、
そして情報を得た後の行動によって差が生まれてくる時代になったんですね。

これではもう、言い訳は通用しません。やるか、やらないか、それだけです。

 

サラリーマンでも法人立ち上げたほうが良い?

本書で私が強い印象を受けたのが、「マイクロ法人論」です。

以前勤務していた万年赤字ブラック企業では、オーナー社長の一家が全てを牛耳る…というか
そのおうちの所有物の様に振る舞っていました。社員はその家族の使用人のような扱いです。

そして常に赤字で、毎年6,000万円の赤字だ…と会議のたびに騒いでいました。
でもその状態で15年くらい続いていて、銀行もお金を融資してくれています。
この不思議な会社経営について、本書の「マイクロ法人論」を読んだ時にストンと納得。

マイクロ法人論では、個人と法人を使い分けることによって余分な税金を払わずに済ませる、
という裏技的な方法が書かれていました。

この部分を読んだ後、その勤務先は絶対に潰れないわ、と確信しました。

なぜならオーナーさん、すんごい成金趣味丸出しな上に、赤字企業の代表にしては顔色もよく
悲壮感が全くないのですもの。

そんな状態でも赤字赤字と騒いで社員を脅していれば、社員は危機感を持って働くし、
本当に決算書は赤字がずっと続いているだろうから税金は安くなり、足りないことになってる
資金は社長一家からの借入にすればお金は回るし、社長一家の税金も安くなるし…と
いい事づくめなわけです。

そんなカラクリがあったとは。

そして日本に中業零細企業に溢れていて、かつそのはほとんどが赤字であることを考えると、
この仕組みを知らないのはサラリーマンとその家族だけ…。

と、恐ろしいほどの損失を被っていたことと、サラリーマン一本で生きていくことはオーナー
社長一家の養分でしかないと気づいてしまったので、私は会社員を辞めました。

自分で考えて判断して生きていかなきゃ、本当に自由な人生ではないですからね。

 

厳しい現実を突きつける一面もある本

本書はお金持ちになるために必要な知識を教えてくれると同時に、自分の責任で情報収集と
検討と判断、そして実行をすることをも勧めてきます。

実はお金持ちになるために必要な知識というよりも、言外にあるような「自分で考える」
「自分で判断する」ということの重要さを伝えてるではないかと思います。

会社員であった時に本書を読んだ感想としては、
「たしかにお金持ちにはなれそうだ。でも会社員をメインにこの本のことを実践するのは
難しいしめんどくさそうだ」です。

会社員メインでも、この本の説く「マイクロ法人」を立ち上げることはできるのにです。
しかも会社員で法人を持っている人もたくさんいます。

そんな現実があるにもかかわらず、それをやらないことが正しくてリスクが少ない、と
思うような言い訳を無限に思いつくのです。

その後、会社員である事をやめて自分で考えて稼ぐ方法も作っていくと決めて動き始めたら、
この本に買いてあることは「やって当然のこと」と捉えられるようになりました。

あくまでも私個人の場合ではありますが、立場(環境)を変えることで自己認識も変わり、
同じ本でも読み方や受け取り方が変わってきました。

すべての人が会社員を辞める必要なはいとは思いますが、もし本書を読んでも行動しようと
いうモチベーションが生まれないのなら、自分は本当に豊かな人生を送りたいのか、または
この本を活用して豊かな人生を送るにはどうすればいいのか?という自問をすることです。

そういう自分への問いかけを習慣にすると、いつしか行動することの妥当性が無意識下でも
認識される様になり、心の底にある本音を実現することに対する「リスク・不安」だと思って
いたこと自体が実は変化の証だったのだと前向きに捉えられる様になるでしょう。

こういう本を読むと言うことは、意識しているいないに関わらず、あなたの無意識は自由で
豊かな人生を望んでいるはずですからね。
最初の小さな一歩を、なんでもいいから普段と違う行動を取ってみませんか。

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