稼ぐ言葉の法則 「新・PASONAの法則」と売れる公式41 神田昌典 著
セールスの骨格となる本
本書は「非常識な成功法則」などで一部の方にはとても有名な神田昌典氏による、「売れる」
言葉の使い方に関するまとめ本です。
一言で言えば「セールスレターの構文集」。
本書の提唱する形(「新・PASONAの法則」と呼ぶもの)に沿ってセールスレターを書けば、
ターゲットの心に共感し深く響く文章となり、商品の契約へと繋がると言います。
実際、私も営業の仕事をしているときには活用させていただき、事業所の売上が前年比で
2倍を越えた…なんてことも起こりました(個人の努力だけではないですけどね)。
すぐに効果が実感できるかは個人差や業界の差があるでしょうが、少なくともセールスレター
を書く人にとっては1つの指針となり、効果測定を行うためにも有効な手段と言えます。
本書の構成
本書は3つのPARTに分かれており、それぞれ、①商品・顧客・自社を深く知る、②これらの情報
をどの順番で顧客に伝えるか決める、③売れるための言葉の公式41、という内容となります。
「PART1 稼ぐ言葉を掘り当てる5つの質問」
PART1では「稼ぐ言葉を掘り当てる5つの質問」として、
商品、顧客、自社を深く理解することを目指します。
ここでは売り込もうとする商品がどのような性質を持ち、どんな顧客が想定されているのか、
そしてこの商品を供給する自社とはどういうスタンスで商品を生産しているのかなど、
想定される顧客に響かせるために使う要素の抽出を行います。
ここで抽出される言葉は、自社の強みや特徴、想定される顧客が求めるもの、そして商品を
供給する自社がどのようなスタンスで設立されて、何を目的としてこの商品を提供するのか、
顧客が商品購入に至る理由となりうる、あらゆる要素を浮かび上がらせます。
「PART2 「新・PASONAの法則」で、売れる言葉の”流れ”を作る方法」
続くPART2では「新・PASONAの法則」の5つの質問から浮かび上がった、共感を呼ぶための
要素を、どういった順番で顧客へ伝えていくのかの法則を紹介しています。
どんなに素晴らしい内容であっても、伝える順番が異なるだけで文章全体の印象がガラリと
変わり、成約率にも多大な影響を与えてしまいます。
この部分に書かれていることが実際の仕事の現場でも最も実践しやすく、そして最も工夫の
しがいがある部分だと言えます。
本書に書いてある内容を自分の事業に応用する際には、本書の表現をそのまま流用するわけ
にはいきませんから、本書の記載内容に従いつつも様々なパターンを試してみて、効果測定を
行うことが最重要であると言えます。
これはコピーライティングの効果測定を行う際にも、最も重要であると言われていますが、
多くの人がこの謂わば「テスト」を行なっていない、とも指摘されています。
(参考:ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則)
現在ではウェブ上でのクリック率を調べる時などに、このテストは活用されているようです。
「PART3 【貧す人】VS【稼ぐ人】売れる公式41」
最後のPARTでは、売れる人とそうでない人の言葉遣いの違いについて説明されています。
言葉の使い方は心の持ちように左右されますし、逆もまた然りとなります。
つまり売れるためには、本書PART3に書かれているような【稼ぐ人】の言葉を使うように
意識していくことで、自分自身も売れる人・稼ぐ人のマインドとなることができます。
言葉遣いの意識づけは、アファメーションに近い考え方とも受け取れます。
アファメーションでは自己暗示としての言葉遣いが重要で、絶えず繰り返されるような
心の中でのつぶやきが、セルフイメージの形成に大きな影響を与えていると言われてます。
本書の「売れる公式41」で提唱されている【稼ぐ人】になるための言葉は、この自己暗示を
強化し、どんどん自社商品が売れるようなマインドを手に入れる方法として有効と言えます。
【番外編】本書の効果が抜群に現れた事例
私自身が思わず注文してしまった事例ですが、ある果物の通販サイトからの宣伝文句で、
思わず買ってしまった事例があります。
その会社は、私の勤務先に直接FAXを送ってくるという方法で売り込んできたのですが、
私は読まずになんどもそのチラシを捨てていました。
しかし何回も何回も同じものを送ってくるので、ある日読んでしまったのです。
すると、今でこそ本書の手法に似たものだとわかりますが、その文章が私の五感を通じて
みかんの瑞々しい味や香りを想起させるのです。
下記のサイトは当時のサイトとは違いますが、テイストが似ているので載せてみました。
覗いてみると、つい注文したくなるような果物の味や香りが想起されて危険です。
私が大の果物好きであること、五感に訴えかける文言に対するイメージ力というか妄想が
とても膨らみやすいことも影響していると思いますが、ついつい買ってしまいました。
あらかじめ本書にあるような「新・PASONAの法則」を知っていれば、その場で即決して
注文することはなかったでしょう。
結果的にとても美味しいみかん(送料無料になる3箱を購入)だったからよかったものの、
事務所がみかんだらけになり、他のスタッフに配ったりする羽目になりました。
そのくらい、圧倒的な購買意欲を掻き立てる効果があると、私がターゲットになった事で
強く実感しているものでもあります。
読後感とまとめ
本書は私自身がおそらくターゲットになったであろう経験からも、その強力な効果があると
言い切ることができます。
私自身が仕事上で活用したケースでは、結果的に年間の売り上げは2倍以上に伸びましたが、
本書のノウハウが直接的に効果を及ぼしたのかはわかりません。
もしかしたらPART3にある、稼ぐ人の言葉がアファメーションとして効果があり、自己暗示の
結果として売れる人のマインドになったので、売上げを押し上げたという可能性もあります。
神田昌典氏が説くマーケティングの技法というのは、そのアピールの奇抜さとも相まって、
ある種のアヤシさも纏うところがあります。
そしてマーケティングの達人であるということからも、その出版する本についてもまんまと
買わされている部分も否定できません。
そういった要素を引き去った上でも、なお神田氏の技法というのは明確に効果があり、
言い方はうまくありませんが「まんまと」引っかかる手法である、と強く思います。
世の中に神田氏の手法が広く伝わってきたときに、それでもまだ効果が持続するのかどうか、
という疑問は残ります。
しかし本書の方法について言えば、五感からイメージを想起させる方法となり、
ターゲット自身が自分で売り込みをかけてしまう点から、ノウハウとしては長期的に
使えるものなのではないかと言うことができそうです。
ブログで物販アフィリエイト等をやっている人で、かなり収益が得られている場合には、
もしかしたらこう行った手法や表現方法を使っているのかもしれませんね。