ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる 木暮桂子 著
ビジネスシーンにおける”見た目”の教科書
外見だけであなたの優秀さを伝えられれば、
見えないチャンスがたくさんやってくる
本書の表紙をめくると、カバーの裏にこのように書いてあります。
「あなたの優秀さ」という、すでに読者を優秀であると見なすかのような文言。
どんなにウダツの上がらないおっさんでも、「自分だけは優秀だ」と思っているもの。
何を隠そう、私も本書購入時にはそう思っていました。
で、即買いです。なんということか。
本書はビジネスの場で見た目がその成果に直結しうるという視点で、その改善によりどれ程の
効果があるのかをわかりやすく、かつ具体的に説明している本です。
人は中身が大切である、という理想論に対して、実際には見た目でそもそも中身をわかって
もらうためのチャンスすら失っている人がたくさんいます。
本書ではそういう勝負以前の問題でチャンスを失うような勿体無いことを未然に防ぎ、かつ、
見た目の印象を変えることによって、セルフイメージをも書き換えて行こうというものです。
自他共に認めるような見た目になり、自分自身でも自信が持てる見た目であれば、そのような
自分であろうとするものです。
見た目にばかり気を使う奴は…なんて思うかもしれませんが、見た目が重要というのは厳然
たる事実ですので、本書を読み、認識と自分の見た目を改めるのがオススメです。
著者について
見た目についての指導を行う著者ですが、見た目の改善が如何に効果的かを、おそらくその
輝かしい経歴から体験的に学ばれたのでしょう。
本書のテーマにも関わってくるので、やや長いですが引用します。
木暮桂子(Keiko Kigure)
株式会社ディグニータ代表取締役。
シンガポール航空にて、フライトアテンダントとしてシンガポールに駐在。在職時にhigh achiever of compliments(年間を通じてお客様からの感謝状の多かったクルーに対して授与)のTOP10として表彰される。その後帰国し、株式会社グロービスの創業期から現在のグロービス経営大学院(マネジメント・スクールおよび大学院)の立ち上げに関わり、東京校のステューデント・オフィスの責任者として戦略立案、マーケティング、営業全般に広く携わる。また、法人向け研修として非言語コミュニケーションスキルトレーニングの講座を開発、自ら講師を行う。
その後、独立し、現在の株式会社ディグニータを設立。経営者、政治家をクライアントに持ち、外見力強化のコンサルティング、スピーチトレーニングを行う。また、戦略コンサルティングファーム、大手企業等のビジネスアピアランスコンサルティング、企業研修を手がける。これまで1000名以上の見た目を変え、外見力強化を実施、依頼が後を絶たない。ビジネスにおける最高の見た目を提案する内容が大人気で、「評価されることが増えた」「つきあう人が変わった」「昇進した」などの声多数。-本書奥付より引用-
ここまでバリバリやる人にとっては、おそらく周囲の人も相当な実力者。あとは見た目の違い
で差別化するくらいしかないのかもしれません。
とはいえ、私もサラリーマン時代には本書に書いてあることを実践して、昇進・昇給が実現。
その後、昇進すると思い通りに動けないんだという閉塞感で退職してしまいましたが、
本書で得た「見た目を重視する視点」は常に生きています。
中身が変わらなくても見た目がイマイチなだけで、それなりの評価をされてしまうのでは、
幾ら何でも勿体無さすぎるのです。
本書を読んだとの副次的効果として、他社やその辺のサラリーマンの服装チェックで楽しめる
ようにもなります。
やはり場末の街と言われる私の住む街は、黒くてサイズの合わない、擦り切れたようなスーツ
を着ている人が多い。なるほど。。という感じ。
本書の内容について
本書は全体を通して見た目を改善して仕事で成果も出そう!という流れで進みます。
特にスーツ着用のビジネスマンを想定しており、まずネクタイの選び方、結び方などの、
ごくごく基本的なところから入っていきます。
そんなこと知ってるわ!と思ってしまいそうですが、どんなもんかと思って読んでみると、
これまで少々サボっていた(特にネクタイが緩むことなど)ことが、見た目を大きく損なう
原因の一つであるとわかりました。
冒頭から自分の見た目にダメ出しをされてしまい、でもこの本を読むと改善策がわかって、
さらに仕事でも成果が出てしまうと言われてしまっては、ついつい買ってしまうというもの。
実際、この本にある通りにネクタイの色や模様の効果を意識して会議や営業先への訪問を
行ったりしました。
結果的にどの要素がどれだけ効果を及ぼしたのかはわかりません。
ですが、本書に書いてある通りに実践したら確かに自信も付くし、そのため営業先でも堂々と
プレゼンができる自覚がありました。見た目は自分に対して磨くものですね。
なかなか踏み出せない場合でも…
見た目を変えろ、と言ってもどこから始めればいいのかわからなかったり、そもそもオシャレ
に気を使うとか小っ恥ずかしいと思うかもしれません。私は思いました。
そして自分の体型や顔のタイプ、雰囲気に合うものがどんなものかというのも、自分の認識が
第三者から見た時の印象と合っているのかも不安でした。
そこで本書にも書いている方法なのですが、「プロに頼る」という方法を採りました。
と言っても専業のスタイリスト的な人に相談するのではなくて、スーツ屋さんにいるような、
普通の店員さんに相談です(名刺の肩書きはファッショアドバイザーだったりしますね)。
彼らはスーツなどの服を売るのが仕事なので高いものを勧めてくるのですが、なぜそれを
勧めるのかと言えば、「素敵」で「似合う」からです。
安いので似合うのがあればいいんですが、安いのを勧めて似合うっていうと、その人自体が
安っぽい感じになって失礼なのかも、とも思いました。
そう思うようになったのは、高いものを勧めてくる時に「高いのでもっと安いので合うやつを
ください」って言ったら、上記のような返答を受けた、というのもあります。
そんなことがあってから、出来るだけ店員さんの言う通りにするようにしています(お店に
とってはいいカモですね)。
お店は利益が上がる、客である私も自信がついて仕事がうまくいく。Win-Win 。
服装の他にも気をつけることが(まとめと感想)
服装が自分に合っている、と言うのは大前提ですが、その他にもちょっとした振る舞いに
ついてのアドバイスも本書には載っています。
ただ私の感覚としては、服装が素敵になって自信がつくと、自ずと自信がありそうな堂々と
した風貌になるようです。
そこにさらに本書にあるような、視線の動かし方や歩き方、姿勢について意識しておけば、
現在のあなたが実際にどうであろうと、第三者から見たらかなりの「デキる奴」に見られる
こと間違いなしです。
本当に見た目というのは大切で、そういうものを大切にしていない人は、その人の思考や
価値観もそれに準じるように思うようになりました。
「人を見かけで判断してはいけない」というのは、その人のことをよく知らないうちから
不当な扱いをするな、という教えですが、そう言った教えがまかり通る理由として、
人となりは見た目にモロに現れてしまうから、ともいうことができそうです。
街ゆく人を見ては、お手本にしたい風貌の人を探すようになってしまいましたが、
それはそれで楽しくも刺激的であります。
一方で、こんな風にはなりたくないな…という人があまりにも多く、そのパッとしない人が
多すぎるために、日本のビジネスマンは総じて損をしている、ともいうことができそうです。
まずは見た目から改善。
なにやらお金がかかりそうですが、高額なセミナーや資格取得の勉強をするよりも投入する
リソース(お金や時間、体力)は非常に少ないです。
その割には効果てき面ですから、今すぐにでも見た目を改善しない手はありません。
騙されたと思って、ちょっとシャツを白にして、第一ボタンを閉めてネクタイを隙間なく
結んで、ベルトのバックルのあたりまでの長さで垂らしてみてください。
きっと、「なんか仕事できそうな奴がいる…」と思うこと間違いなしです。