クロックサイクルの速め方 脳が2~32倍速になる特殊音源トレーニングCD付
苫米地英人 著
苫米地流情報処理能力向上トレーニング本
人工知能の研究をしながらその成果を生かして、人間の脳の働きを引き出す方法を
たくさん紹介している、苫米地英人氏の本です。
クロックサイクルの速め方、と言うことです。
コンピューターの演算速度を表すクロックサイクルの考え方を、
人間の脳の情報処理家庭に当てはめることで、その速度を速めるトレーニングができます。
実はすごいことを言っているけれど抽象度が低いとわからない、と言う内容です。
一般的には「トンデモ本」としてみられてしまいがちですが、
抽象的な視点や抽象度を高く持つトレーニングを続けていると、こうした著者のいっている
一見ぶっ飛んだことも、実感としてわかってくるようになります。
amazonのレビューでも、嘘か誠か、本当に少しずつ処理速度が上がってきていると言う
体験を載せている人がいるくらいです。
成果が出ることに期待しつつ、本書のトレーニングに取り組むのもいいかもしれません。
本書の内容について
本書のタイトルにもある「クロックサイクル」ですが、これはコンピュータの演算処理速度を
表す指標で、実際には○○GHzなどと表記されます。
意味合いとしては一秒間に○○回の計算が出来るということです。
一方で人間の脳は、意識して仕事をするときは同時に一つのことしかできません。
中には同時並行して仕事を進めている、なんて思っている人もいるようですが、
それは高速で色々な仕事を切り替えてるに過ぎず、かえって効率が悪かったりします。
無意識領域の活用をトレーニングする
本書の主張は、そういった顕在意識を使った同時並行的な方法ではなくて、
無意識の領域を使いこなすことでほぼ無限大の処理速度向上を図る、という野心的なもの。
意識に上らなくても、無意識に行っていた仕事がいつの間にかできている、というものです。
怪しいですね。非常に怪しい匂いがします。
ところが、本書にあるようなトレーニングを根気良く続けていくと、
だんだんと抽象的思考ができるようになって、
脳の無意識の領域に仕事を任せることができるようになります。
どういうことかというと、すでに十分に習熟している日常的動作などで、
意識しなくても勝手に体が動いていくという感じに似ています。
意識がその行為にむくだけで、意識上に答えが上がってくる、という感覚。
そこでまだ上がってこないようなら、情報収集なり内部での考察なりが終わっていないだけ。
なんかやる気ない人の言い訳みたいになっちゃいますが、そういうことになります。
具体的なトレーニング方法の例
本書の主張は、脳の演算速度であるクロックサイクルを速めることによって、
情報処理速度を向上させ、これまでの何倍もの仕事(ここでは自分の望む行為も含みます)を
進めて、誰もが平等に与えられている1日24時間をもっと効率よく使いましょう!
ということになります。
そこで、著者がトレーニングの項目としてあげていることに、「速読」の実行があります。
速読とは「本を速く読む」という字義通りのスキルですが、
世の中にある速読法は「無意識領域を使った方法」「本を画像として脳に取り込む」
などといった、文字を認識していない、見ているだけの方法が多く存在します。
確かに慣れてくると無意識領域を使っていたり、画像として取り込むことに似たことは
やってはいるんですが、最初からそれをやろうとしても実感が湧かず、
無意識領域からの情報の取り出しができていません。
そこで、著者は一字一句飛ばさずに読む方法で、「とにかく速く読む」速読をせよ、
ということをいっています。
1文字1文字を追って、それぞれの意味を把握するという行為が、言うなれば情報の一単位に
なります。だからその「読む」行為を、どんどん速めて行けば、結果的にクロックサイクルが
速くなっていくという理屈です。
トレーニングの継続が重要
これは苫米地氏としては真っ当というか、当たり前のこと過ぎてちょっと拍子抜けでした。
が、実践を重ねていくと、読書スピードが上がっていくのが実感できます。
これは読書慣れしてきたせいで速くなっているとも言えるのですが、それすなわち
情報処理慣れしてきたから速くなっているとも言えるのです。
こうして体感時間を伸ばすことで、24時間ある1日のうち、もともと出来ていたことよりも
2倍3倍と出来てくるようになるのです。
そしてどんどん、どんどん速くなっていくと、同じ時間を生きているのにも関わらず、
体感時間が伸び、結果的に人生が伸びるということにもつながります。
本書が向いている人、不要な人
本書は上記のように、人間の能力自体を向上させて、様々なことを成し遂げようとする
方法の紹介と、具体的なトレーニング方法になります。
従って、やることがあり過ぎて時間がない、と嘆きがちの人にぴったりです。
普段の仕事中から、速く処理することを意識しながら、時間も計ったりして、
定量的に速度向上を認識しながら取り組むと良いでしょう。
それに対して不要な人は、すでに自分らしい人生を実現できていて、
効率を高める必要を感じていない人。
そういう人はすでにご自身ですでにクロックサイクルがかなり速くできているはずです。
楽しいこと、やりたいことが次々と見つかる場合、自らの欲求に従って、作業効率を
速めようとしているものです。
とはいっても、本書のアプローチは物の考え方に参考となることもありますから、
一読の価値はあるのかもしれません。
本書から得られる物
本書は繰り返しになりますが、能力を向上させることによって人生を豊かにする方法を
紹介しています。
本書から得られるのは、そうしたスキルを身に着ける方法はもちろんですが、
誰もが自分らしく生きられる、と言う世界の実現可能性を感じられると言う事です。
著者はコーチングの元祖であるルー・タイス氏との親交もあり、コーチングと自身の専門を
統合した新しい教育プログラムなどの開発も手がけていますが、
本書のような能力向上に焦点を絞った本を読む事で、自己変容に必要なプロセスを
追体験できるようにも思います。
読んで無駄になる本というのは滅多に存在しないものですが、本書はご自身の人生を
充実させ、より満足度の高い日々を過ごすことにも貢献しうるものと言えます。
書評まとめ
苫米地氏の本は、一見すると装丁も派手で、なんでこんな怪しい見た目にするのかと
不思議に思うくらいのものが多いです。
しかしこれら「普通じゃない」姿は、現状の外にはみ出す生き方をしてみることの
大切さを体現しているのでは、と思うようになりました。
何事も盲信してしまうことは危険ですが、自分自身で情報の取捨選択をしながら、
自分にとって有用なのか、社会の役に立つのかなど、基準を元に判断することが
大切になります。
そうした行動を、自然にできるよう促す役目が苫米地氏の著作にはあるのではないか、
そう思うに至った本書の読後感となります。
折を見てはクロックサイクルを速めるように意識して速読をしたり、
1秒でレストランのメニューを決めたりというトレーニング(本書で紹介されてます)を、
日常的に取り入れていきたいですね。
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