『習慣の力 The POWER of HABIT』チャールズ・デュヒッグ著
「わかっちゃいるけど止められない」を解決する本
■間食やおやつ、食後の甘いデザート
■仕事中のネットサーフィン
■喫煙、飲酒
■ダラダラSNSを見続ける
などなど。あげればキリがないですね…。
ダイエットに禁煙、スキルアップの勉強などなど。
人生では〈習慣の力〉によって大きく変えられる可能性を秘めた事がたくさんあります。
わかっちゃいるけどやめられない。
そのやめられない習慣の積み重ね、結果が今の私であり、あなたでもあります。
もしも今の自分に満足できない、こんなはずではなかったと思うところがあるのなら…
この『習慣の力』という一冊の本が助けになるかもしれません。
悪き習慣による現状を変えられる
人生、というと何か大それた感じがする言葉だけれど、人生とは日々の習慣の積み重ねです。
自分の望ましくない行動、習慣そしてその結果としての現在の自分。
望ましくないにも関わらず”悪き習慣”を繰り返してしまうのは、何か自分にとっての報酬が
大きな行動誘因となっている可能性があります。
良い習慣を根付かせて、自分の望む人生を作り上げる
『習慣の力』によって認識が新たにされるのは、習慣とは脳にとっては良いも悪いもなく、
ただ判断するという脳の活動を節約するために行っている事だという事。
つまり習慣の仕組みがわかれば、悪き習慣を断ち切り、望ましい習慣を根付かせることも
可能なのです。
この記事を読むと得られることとは?
②「人生=習慣の積み重ね」、つまり人生を変える事ができる
③「きっかけ→ルーチン→報酬」のサイクルを活用する
④「報酬」を理解し、入れ替える
①人の行動の40%は習慣で決まる
→デューク大学で2006年に発表された論文では、毎日の行動のうち約40%はその場での判断ではなく、「習慣」で決めていた。
②一度できた習慣は一生消えない
→例:自転車や毎日の日課など、例えば認知症になっても体が勝手に動く、等。
習慣がまさに大きな力、人生への影響力を持つと言われる由縁がコレ。
一度出来た習慣は一生消えないと言います。
おそらく皆さんにも身に覚えがあると思いますが、自転車がそのいい例です。
自転車に一度乗れるようになると、「体が覚えている」という感覚を覚えると共に、
数年のブランクがあっても難なく乗る事ができます。
また、本書の事例でも紹介されていますが、脳の障害によって認知能力が低下した場合であっても、本人はなぜそれをしているのかわからないのに、正常な認知能力があった頃と同じ行動をする事が観察されています。
このことはまさに脳が判断せずに、習慣として自動化された行動の結果と言えるのです。
以上のことから、一度身についた習慣、特に自分にとって望ましくない習慣が再び現れないようにするために、注意深く日々の生活を送らねばならないように思えます。
習慣が辿るプロセスはかなりシンプルな形に解明されています。
すなわち【きっかけ→ルーチン(習慣行動)→報酬】というループになっています。
この時の報酬を誘因として、繰り返しその行動を行っていきます。
繰り返す、というところがミソです。
その報酬(間食であれば甘いお菓子による高カロリーの摂取による血糖値の上昇、喫煙であればニコチンの充足による快感など)が得られると脳が喜び、もっと欲しいと思います。
さらに報酬が得られる行動のきっかけとなった事(イライラする、手持ち無沙汰になる、仕事に飽きる、など)と組み合わさると、一見何の関係もなさそうな行動から、報酬を得るための行動上の公式が形成されます(=習慣化)。
結果として、あるきっかけとなる事柄が起こると、もはや考える事なしに習慣化された行動のループに嵌まり込んでしまうことになります(午後3時前後にカフェに行き、甘いお菓子を食べながらおしゃべりをする、など)。
しかしこの習慣のループは、報酬が何なのか突き止めることで、習慣化された行動を変えることもできるのです。
本書の事例
この本の事例では、3時前後に甘いお菓子を食べてしまう習慣によって体重が増えてしまい、それを変えるために報酬を解明しようと実際に色々な検討を行っています(「報酬」とは仕事のリフレッシュなのか、同僚とのおしゃべりなのか、空腹を満たすためなのか)。
その結果、同僚とのコミュニケーションを取ることによって自分が快感(=報酬)を得ているとわかりました。
そしてお菓子を食べる必要がないとわかったので、カフェには行かずにオフィス内で10分程度のおしゃべりをすることを新たな習慣として根付かせることに成功しています。
これはうまくいった事例ですが、報酬さえ明らかになれば、そこから望ましい結果を得るためにふさわしい報酬を新たに設定して、その新たな報酬を満たすような行動を繰り返すことで、望ましい習慣化が可能となります。
あの有名なブロガーも…
また、ブログ界でかなりの成果をあげている「マナブログ」のマナブさんも習慣を味方につけた人として私もお手本にしています。
この方は朝起きたらまずブログを書く、ということを1000日近く継続し、月収で2,000万円を超えたという実績があります。
習慣の力とはそこまで大きな影響があるのかと、大きな希望を抱くと共に果てしない道のりを感じます。
私もこの習慣の力を生かし、改善を繰り返しながら1000記事を目指すことにしましょう。
④キーストーン・ハビットを変えるだけで他の習慣も変わる
「キーストーン・ハビット(要となる習慣)」を変えることによって、習慣の変化が連鎖的に起こる、その起点になる習慣のことです。
本書の例では喫煙をやめることに集中した結果、人生が劇的に変化した女性が登場します。
キーストーン・ハビットは、どれが該当するのかを明らかにすることは困難です。
人によって習慣形成のプロセスや生活様式が異なるためです。
しかし私自身の禁煙体験から考察するに、喫煙のような生活に密着し、かつ頻繁に行う習慣については、大きく生活を変える可能性を秘めているという事ができそうです。
私が喫煙をやめたのは、「社会福祉士」という資格取得のために実習として福祉施設に行くことになった時に肺のX線検査を行ったのですが、その時の医者の一言「肺が硬くなっているので、このまま喫煙を続けると重たいボンベを引きずる生活になりますよ」というものでした。
今、この本を読んで思い返すと、この時に〈喫煙による報酬〉を〈ボンベを引きずることによる行動制限〉によって失われる行動の自由さが上回ったのだろうと思います。
医者に脅されたような形にはなりましたが、結果的にすんなり止める事ができました。さらに禁煙が習慣として根付いた理由としては、実習期間中の快適さを実感した事です。
他の職員が喫煙のために席を外したり、かなり気を遣って一服に出かける様子を見て、自分の自由さ(喫煙欲求を満たす行動が不要)に少々優越感を感じたこともあります(=報酬)。
そうしたプロセスを経て禁煙が習慣化し、やはり生活が大きく変わっています。
例えば自炊するようになったり(味覚が戻ってきた)、旧態然とした会社を退職したり(喫煙習慣のある管理職ばかりで臭かった)、ブログを書くようになったり(集中力が続くようになった)、新しい車を買ったり(タバコ代が丸々浮くのでお金が貯まる)…。
思い返せば喫煙習慣があった頃とは大きく生活様式が変わっています。
そしてこれらのプロセスは習慣化の延長線上にあるため、自分の認識としては大きな変化は起こっていないことになっています。
全ては必然的に起こっている、という感覚です。
「習慣は変えられる」と主張する本書の信頼性は?
②変化の枠組みが明確である
③レイ・ダリオ氏の著書『PRINCIPLES』でも紹介されている
④私(本記事を書いている人)も習慣の変化を実現できている
①習慣形成の過程が科学的に解明されている
②変化の枠組みが明確である
1.ルーチンを特定する
2.報酬を変えてみる
3.きっかけを見つける
4.計画を立てる(実行意図)
以上のような4ステップでのアプローチを紹介しています。
このアプローチは、先述の禁煙によって人生が変わった女性や、私自身も辿ってきたプロセスと重なるものです。
まずルーチンを特定します(例えば、イライラを感じるとタバコを吸う)。
そしてその報酬を変えていきます(ニコチン摂取で落ち着く→禁煙によって得られる自由)。
続いてきっかけの行動を見つけます(作業がひと段落する、気分転換したいと思うなど)。
そして望ましい結果をもたらす報酬を得るための行動を計画し、これを数回繰り返します(作業がひと段落した→軽い運動(=体の自由さを感じる)など)。
この時に、自分が新しい報酬に強く惹かれるものでないと意味がないようです。
そして明確な実行意図を持ち、古い習慣に戻る事がないように意識する事が重要です。
こうしたプロセスを経て自分にとって古い習慣で得られる報酬以上の、新しい報酬が得られる事を脳が理解すると、新しい報酬を得るための行動様式、つまり習慣が根付いていくのです。
こうしたプロセスが明確で、再現性がある事が本書内でも私自身の経験からも明らかですから、本書の主張はかなり信頼できると言えるでしょう。
③レイ・ダリオ氏の著書『PRINCIPLES』でも紹介されている
私が本書を読もうと思ったのは、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏の著作『PRINCIPLES(プリンシプルス)』で紹介されていた事がきっかけです。
『PRINCIPLES』もうまく習慣の力を活用している本で、あらゆる事は歴史上にてすでに体験されているという前提に立ち、問題解決の原則を定めていくという本です。
この本で、望ましい行動を習慣化する事は人生を思う通りに作り上げていく上で重要であるとい事が書いてあり、その方法として『習慣の力』が紹介されていました。
世界的な大成功を収めた人物が紹介する本ですから、その信頼性は折り紙付きと言えます。
④私(本記事を書いている人)も習慣の変化を実現できている
繰り返しになりますが、この記事を書いている私自身が習慣化の力を強く実感しています。
良い意味でも悪い意味でも。
良い意味では、自分の理想とする生活(時間と場所とお金に縛られない生活)に近づいているという事で、あとお金の面が解決できれば実現できるところまできています。
一方で悪い意味では、味覚が敏感になったせいで食事にこだわるようになってしまい、禁煙後からかなり体重が増えてしまった事です(70kg→82kg)。
美味しい食事と自分で料理することの満足感がこの悪き習慣の報酬なのですが、食事とは生きていくために必要な行為でもあるため、いまだに習慣が変えられずにいます。
さらに悪いことに、この習慣を変えたくないというプレッシャーも感じており、新しい報酬(例えば引き締まった体、運動能力の向上による快適な生活)を設定しようとしても、習慣化するまで継続できない(プロセス上にある苦痛を乗り越えられない)という状態です。
そういうわけで、良くも悪くも『習慣の力』の内容を身をもって証明しています。
まとめ
習慣は変えられる(変化の枠組みが明確)
キーストーン・ハビット(要の習慣)を変えると生活様式がガラリと変わる
習慣の力で自分をコントロールすることも可能
ということが主張として整理できます。
習慣というのは無意識に刻み込まれている行動の自動化プログラムとも言えます。
脳のエネルギー消費の節約(=判断せずに楽をする)のための、優れたシステムとも言うこと
ができそうです。
そんな便利で強固なシステムを利用したスクールとかも出てきているようです。
例えばライザップ(ダイエット)やテックキャンプ(プログラミング)は、単にトレーナーが
教えるだけではなくて、受講者の心情に寄り添う「共感」を担当するスタッフも存在している
と言います。
ある一つの目標を達成するためには、大きな最終目標の設定と、そこに至るまでのステップの
「新しい行動」に対しても、報酬が必要であると言うことを理解した上での仕組みでしょう。
新しい行動を始めた時にそれが継続しにくいのは、目に見える成果がなかなか出てこないから
でもあります。
その行動自体が報酬となる場合(筋トレが楽しい、ブログ執筆が楽しい、など)ならそういう
報酬は不要なのかもしれません。
そして世の中で成功しやすい人というのは、好きなことをその行為自体を報酬として
実行できる人である傾向もあるでしょう。
しかし本書の方法を応用し、日々の行動にも小さな報酬(いいね!が付いたり、共感されたり
何らかのフィードバックが得られる)を設定することで、どんな行動も習慣化することが可能
とすることができそうです。
本書での学びは、果てしないほどの可能性を秘めています。
必読の一冊です。