なまけものののあなたがうまくいく57の法則 本田直之 著
※2020年5月14日まで、無料で読むことができるとのことです(大和書房)
「なまけもの」向けの動けるようになる工夫リスト
この本の著者自身が「なまけもの」であり、そんな自覚がある著者がどうやって動けるように
工夫をしてきたのかを、57項目に絞って紹介している本です。
なまけものは自分から動けない、だから「工夫」が大事なんだ。とのこと。
確かに〜!って思うんですけど、その工夫自体が難しいんですよね。
だから私が思うのは、こういう本を読んで一瞬でも「やるぞ!」と思えた時に、初速を与えて
環境や仕組みを整えてしまうのがいいと思います。
本書でも、環境をそうせざるを得ない状況に変えたり、あるいは友人関係を使って行動をする
きっかけにしたりという「工夫」が載っています。
結果として著者の本田氏の活躍ぶりを見てしまうと、なまけものなわけないじゃん!と思って
しまいたくなるようなお方です。
しかしもしも、本当になまけものなのに、この本にあるような環境や人間関係を使った工夫で
行動できるようになり、MBAやらハワイでサーフィンとかできる人になったとしたら…。
この本に書いてあることを実践する価値は大いにありそうですよね。
本書にもある、「まずは初めの10日だけ」集中的にやってみる、というところから、この本の
ノウハウを使ってみるのがいいでしょう。
この本で私の心に刺さったもの
組織におけるなまけものと働き者(「はじめに」より)
本書の「はじめに」で書いてある、人材の適性(第一次世界大戦後にドイツ陸軍を再建した
ハンス・フォン・ゼークトによる)について下記のように分類しています(本文より引用)。
(1)有能ななまけもの
タイプ:プロジェクトリーダー
理由:自分が怠けるため部下の力を最大限に活用し、いかにたやすく成果を挙げるかを工夫するため。(2)有能な働き者
タイプ:副社長・専務
理由:自分自身が勤勉に働くので、部下を率いるよりは参謀として補佐役に回るほうが力を発揮するため。(3)無能ななまけもの
タイプ:①経営者やエリアマネージャー、②一般の従業員
理由:自ら考えようとしないため、①の場合は参謀のいうことを、②の場合は上司の命令をそのまま実行するため(4)無能な働き者
タイプ:組織に不要な人物
理由:過ちに気づかないまま実行し、さらなる過ちを呼びこむため。
これは心理学や組織について学ぶ場やそういう本の中によく出てくる分類ですが、この本の
メインテーマの「なまけもの」が上手くいくためには、この視点が必要だということです。
ここからわかることは、必ずしも自らが勤勉に動く「働き者」であることがいいとは限らない
ということになります。
むしろ「なまけもの」であると自覚があるなら、(1)を目指して工夫によって成果を得る、
「前進型」のなまけものになろう!というのが本書の趣旨です。
目から鱗ですね。なまけもののままで成果を出そうなんてまさに発想の転換です。
「法則08 苦にならない理由を分析する」より
この本で特になるほどと思ったのが、「行動を続ける」ことに視点が向いている点です。
なまけものだと、初速(動き出し)が非常に動きにくいために結局怠惰な日々になってしまう
と思いがちですが、それだけではなかったのです。
動き出した後も、それを継続することができない理由があるのでした。
ここではそうならなかったケースを考えて、継続すること自体にエネルギーを必要としない
ケースを6つに絞って掲げています。
苦にすることなく何かを続けられる理由は、大きく次の6つに分類されます。
①好きである・・・自分の興味の対象
②やっていて楽しい・・・性に合っている
③気持ちがいい・・・心身の喜びがある
④得をする・・・前向きな動機がある
⑤競争の要素がある・・・やる気を掻き立てられる
⑥やらないと大変なことになる・・・必要不可欠だと理解できている
このうち①から④までは「内部からの動機付け」で⑤と⑥は「外部からの強制力」に当たります。
これまでの自分の行動も含めて振り返ってみると、意図せず継続していたことや、ついつい
やり過ぎてしまったり、止めどころがわからなくなるほどのめり込んだことについては、
これら6つのうち特に前半の4つに当てはまっているものがほとんどです。
本書では、こうした「継続させるための動機付け」が自然に発生するように工夫することで、
目標とする状態へ近く行為を習慣化していきましょうと言います。
継続することができるのは、たまたま「ハマった」だけという、なんとも漠然とした感覚で
認識していた身からすると、このように明確に分類されると逆に利用しやすくなります。
「法則17 寝つきをよくすれば悩みはなくなる」より
【物事はシンプルに考える】ということなのですが、ここでの例として
自分の意見を詳しく原稿用紙20枚に書いて伝えるのと、箇条書きにして伝えるのでは、
どちらがより理解しやすくかつ実行しやすいか問われています。
こんなのは当然、箇条書きにした方がわかりやすいと思いますよね。
こんな簡単なことが、ひとたび場面が変わって仕事の場面やこうしたブログになると、
ついついあれもこれもと詳しく伝えようとしてしまいます。
この項を読んだ時に少々ギクリとしたのは内緒にしておきたいですが、ブログでもなんでも
シンプルにわかりやすくすることが大切ですよね、ってことです。
なまけものになる人はちょっと完璧主義っぽいところがあって、中途半端になるくらいなら
やらない方がマシだとか、ちょっとでもうまくいかないところが見えるとイヤになっちゃう
とかあるんです。
そういうところももっとシンプルに大枠で捉えて、目的に近づいてればOKくらいの気持ちで
捉えて行こうよ、という風に解釈しています。
この項は特にブログで自分の考えや体験をシェアする時に気にしておきたい内容でした。
「法則57 とことん怠ける日をつくる」より
先述の項とやや重複するのですが、なまけものになってしまう人には「隠れ完璧主義者」が
かなり多いという説があります。
そのため、継続できない分を取り返そうと、一度動き出すとフルパワー以上の出力で動き出し
ガス欠を起こしてまた長期間のダラダラ期間に戻ってしまいます。
そこでこの本が提案している最後の法則として、「積極的に怠ける日」というのをつくる、と
提案しています。
言わば「誤った完璧主義」を修正するために、とことん怠ける日というのをつくるのですが
そうでもしないと今の日本人は、心の底からちゃんと怠ける(=充電する)ことができないの
ではないかとも思います。
これは最後に書かれているだけに、おそらくもっとも重要で多くの人に実行して欲しいから、
最後の項目に書かれているのであろうことが予想できます。
積極的に怠ける、という「隠れ完璧主義」の性質を逆に利用したうまい方法ですね。
私もそうでしたが、インターネット接続や携帯電話の県外にある温泉地などで休養する時、
積極的に怠けることに慣れていないと、結局気持ちが焦って休めなかったりします。
しかしここで、主体的に「怠けるんだ!」という気持ちで怠ける(=休養する)ことを決め、
自分から「怠ける」という行動を選んだという意識が生まれます。
そうなることで初めて、ただダラダラ過ごすことから、旅行先ならその土地の雰囲気を味わい
自宅なら周辺の環境や日常の小さな喜びが見つかったりするものです。
最後に書いてある57番目の項目こそ、後ろ向きのなまけものから「前進型」なまけものへと
変化するための最強の方法なのではないかと思うのです。
読後感、感想など
本田直之氏の本は、いわゆるビジネス書らしくてとても読みやすく、そして読後感もなにか
モチベーションが上がったような爽快感も感じられます。
こうした本が書けるのは、おそらくここに至るまでのご経験やご自身の怠け癖を乗り越える為
に工夫してこられた実績が大きいと思います。
そして読者たる私たちは、そうした圧倒的な実績を出している本田氏の教えを知り、「すごい
なー!」「こんな風になれたらいいなー!」で終わってしまうことが多くなるはずです。
どうしてもビジネス書というのは、競争が激しい分野であり瞬間的な快感により販売部数を
伸ばさなければならないという事情もあります。
ですから、著者が想いを込めて本にしてくれたノウハウを、一つでも多く実行して、読者自身
が自ら行動に繋げていかなければならないのです。
その時にこの本のノウハウというのは、まさに「動き出せないなまけもののため」に書かれた
本であることから、うってつけの本であるとも言えるのです。
すでに書かれてから6年ほど経っていますが、人間の行動原理というのはそう簡単には
変わらないはず。
この記事または本を読んだのなら、その勢いのままにどれか一つ実行してみましょう!