なにが起こっても「絶対幸せ」でいる法 ロバート・シャインフェルド 著

なにが起こっても「絶対幸せ」でいる法 
ロバート・シャインフェルド 著、栗原弘美 翻訳

悟りの境地に至る書

本書には「真実のウィルス」が入っており、
読者の感情に対する見方を完全に変えてしまう可能性がある、と言います。

また本書のカバーには、「この本を読んでいる途中で読者に起こりうる反応」として、

①本をアイデアや概念のレベルで受け入れるが、結局は無視する。
②アイデアや概念自体を拒否する。
③「真実のウィルス」を部分的に採用する。
④「真実のウィルス」を全面的に採用し、変容する。
(どの反応にも良い悪いはありません。楽しんで!)

-本書カバーより引用-

上記のように書かれています。
人生を肯定的に捉えるための1つのアイデアとしても面白い視点です。

シミュレーション仮説のような、この世が一種の仮想現実であり、本当の自分はこの世界を
俯瞰している、いわばゲームプレーヤーのようなものだという視点も。

何か困難にぶち当たって立ち止まってしまうときに、こうした仮説を取り入れて、
自分の人生を受け止め直してみるというのは、絶望に飲み込まれないようにするには
有効なのかなと思いました。

著者について

ロバート・シャインフェルド
世界的に有名な人材派遣会社「マンパワー」創業者の孫。講演や著作を通じて、190か国以上で何万という人びとに、「幸せ」「自由」「成功」への道を説く。法人経営で大成功するが、失意も味わう。経済的な危機、離婚、健康面での問題など、さまざまな経験に学び、「幸福とは何か」を求め続け、ついに「真実の幸福」に到達する。現在は自己成長の探求者として活動中。
主な著書『「ザ・マネーゲーム」から脱出する法』『「ビジネスゲーム」から自由になる法』(以上ヴォイス刊)など。
定期的に来日してセミナーも開催している。

-amazonより引用-

億万長者のお孫さんであるということと、お祖父さんから人生の秘訣を引き継いで、
実績をちゃんと出しているということが、本書の主張の裏付けになるのでしょう。

著者自身もかなりの成功者に含まれる人物ですから、そういう実績のある人が主張する
ぶっ飛んだ理論は、不思議と説得力があります。

人生の目的がわかると真の幸せが定義できる

著者の独特の考え方による、揺るがない幸せでいる方法を紹介する本です。

本書の前身となる考え方に、「ザ・マネーゲームから脱出する法」というのがあります。
この世界はある種のホログラムのようなものである、という考え方ですが、
本書はさらに本質的なモノに洗練されており、
人生の目的とは「内的感情」を味わうことである、と言い切ります。

この主張にはもちろん根拠があります。
何かが欲しいとか、こうなりたい、といった欲望は、それを手に入れた後
しばらくするとその状態に慣れてしまいます。

そしてまた新たに欲しいもの、なりたい状態を求めて渇望感に苛まれます。
そうした物欲などの欲望をよく観察し、一体何がそれを求めさせるのかを考えると、
それら欲しいものを手に入れた時の満足感や優越感、達成感が欲しいとわかります。

つまり「内的感覚」を体験したいがために、
その手段として間接的に欲望を使っているのです。

一方で、好ましくない感覚、不幸な感覚はどうかというと、
実はそれらもまた内的感覚です。

しかしそれら不幸な出来事が惹起する内的感覚のエネルギーを感じると、
激しさや強やなどは感じられるが、それが好ましいとか嫌なものという解釈は
後付けであることに気づいていきます。

つまり表面的に現れている感情や体験は、その出来事によって解釈されているに過ぎず、
体験されている内的感情の起伏は、その大小に過ぎないのです。

ここから、著者の主張は、目の前で起こっていることに良し悪しがあるのではなく、
なんらかの出来事で惹起された内的感情の起伏を味わい尽くすことが、
真の幸福、揺るぎない本当の幸福であるのだ、というものになっていきます。

従って、私たちが不完全な存在としてこの世で様々な体験をすることは、
制限をかけた人生の中で感じる様々な内的感情を味わい尽くすことを目的とした
一つの手段に過ぎないのであると結論づけます。

この本の主張をまとめていると、何か仏教とかの悟りにも似たような感覚に
近づいているのではないか?と思えてきますね。

もしかしたら人生の真理はこの本の主張の通りなんじゃないか。
ちょっとアヤシイ方面に行ってしまいそうな雰囲気です。

 

この本をオススメする人

本書は、現世主義というか、即物的な考え方をする人には抵抗がある種類の本です。

しかしそうした生き方をする中で、もしも壁にぶつかっているなあ、という思いがあるなら、
従来とは違ったアプローチ、すなわち本書のような考え方、ものの見方を取り入れてみるのも
一つの有効な手段であると言えるでしょう。

すでにこういう本に興味を持った時点で、いつもとは違う手段を模索しているわけです。
あとは手にとって読むだけ。

本当に、本というのはお手軽に自己変容できる便利ツールですね。

 

この本から得られること

私自身、人生を諦めてしまいたいと思うような経験をしていますが、
この本の考え方を知って、それもまた人生を味わい尽くすための過程なのだな、と
思い直した経緯があります。

もしも自分はなにも取り柄がないとか、不幸ばかり背負いこんでいる、なんて
思っているとしたら、そういうときにこそ再起を図るための力が、
この本からは得られると思います。

そんなに深刻でないにしても、自分らしい人生を歩むのに踏ん切りがつかない時や、
このままの日常を続けていくことに疑問を感じてしまうときなどは、
勇気を出して一歩を踏み出すためのきっかけににもなりうると思います。

たかが本一冊、ぱっと見アヤシイ主張ですが、
本書の主張に従って行動してみる、本書に賭けてみるのもまた、
1つの現状打開策になると思います。

たとえそれで失敗したとしても、本書の主張を受け入れた後ならば、
それすらも人生を味わい尽くす1つのエピソードに過ぎなくなります。

書評まとめ

本書の内容を読み込み、いわゆる「真実のウィルス」を受け入れたとすると、
世界の見え方は一新するように感じることはできます。

目の前で自分の人生に起こることは、ひとまず解釈は脇に置いて、
とにかくそのことを味わい尽くす、という姿勢が加わります。

そのことによって、起きたことを嘆く時間もなくなり、前向きに、かつ挑戦的に
いきていけるようになるのかなー、という読後感を持ちました。

 

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