好きなようにしてください たった一つの『仕事』の原則

好きなようにしてください たった一つの『仕事』の原則
楠木建 著

 

投げやりなようで真理を突いている

「好きなようにしてください」それは対人関係での真理

本書は「人生の第3コーナーをまわった」おっさんが、就活生などの若者の疑問に答える、
と言う形式で進んでいく本です。

著者がハイスペック人間なので、切り返す時の言葉がさすがと思いますし、
それらがいやらしくなく、面白おかしく受け取れるようなユーモアも感じられます。

単に娯楽として読むのもよし、就活中の学生なんかは本気で読んでもよし。
ある意味で人間の悩み相談に関する真理が、ここにはあるように思います。

色々あるけど結局は

結局、自分以外の他人に言えることは、
「好きなようにしてください」
に尽きるのではないかと思います。

この本のタイトルは真理を突いています。

それなりに人生を生き抜いていると、
それなりに自分の「価値観」が確立されてきます。

仕事が一番大事!
寝ても覚めても仕事のことしか考えてない
と言う人とか

車こそ我が人生の象徴!
この美しい流線型を見よ!
みたいな人とか

一生独身でいる!とか、
逆に30歳までに結婚しなきゃ・・・!
って焦ったりとか。

人それぞれいろいろな価値観・信念を持ってます。
ですが、人生の決断をするのは、本人。

他人にとやかく言われようと、自分の人生なのだから、
「好きなようにしてください」
こうなるわけです。

むしろ、好きなようにしてください、と言われる人は、
幸運な人なのではないかとさえ思います。

 

やたら他人の人生に口出しする人

いわゆる「物分かりのいい大人」って、自分の歩んできた人生以外を
認められないタイプが多いように感じます。

そしてその人生(多分不本意な選択を強いられたのでしょう…)を
他人(主に年下の立場の弱い人)に対して強要してきます。

言われる方はたまったもんじゃない、と思いますが、言う方はむしろ
親切心からお節介をしている可能性があるのです。
これ、非常に厄介な問題です。

だからこそ本書では、人生での決断や他人からのアドバイス(お節介)に対して、
本来の振る舞いについての示唆を与えるものだとも言えます。
面白おかしく表現していますが、実は深遠なる真理を表しているんですね。

いやはや、本書は偉大であります。

お節介されすぎて、自分がなんで悩んでいるのかさえわからない

本書で取り上げられている「悩める相談者」からの相談は、
言っちゃ悪いけどどうでもいい感じの内容です。

悩んでいる当事者にとっては深刻なんでしょうが、
そもそも「本当に望んでいること」がわかっているのに、
社会通念とか他人の目が気になって、
体裁の良さそうなほうに行きたいって悩んでる。

それ、悩む必要がないやつですよ…。

今の若い人の悩みって、
「自分の望み」と「社会通念上好ましいとされること」
の葛藤なのでは?と思うことがあります。

昔は情報の収集元も限られていたし、インターネットもないから
人生の先輩の言うことを聞いておくのが一番安全だった。

しかし、今は自分から検索窓に知りたいことを入力するだけで、
大抵の情報は無料でいくらでも入手できる。
情報の偏りが生じています。

便利になって幸せになれるはずなのに、情報が手に入りやすくなったがゆえに
かえって悩んだり葛藤が起こったりします。

そんな世の中だからこそ、余計に本書のメッセージである
「好きなようにしてください」
が、輝きを増すように感じるのです。

 

この本をオススメしたい人

就活に代表されるような進路選択の岐路にある人にオススメ。
自分がどうすべきかなんて、実はどうでもいいことだから。

いくらでもどうにでもなります、と言うことが、本書を読むとわかると思います。
自分が思う通りに選択・判断していくことが、悔いのない人生に繋がります。

他人の言う通りにしていても、良くて無難な人生、
合わなかったら悲惨な奴隷の人生です。
悩めるうちにたくさん悩んで、自分自身で決断することが大切です。

 

書評まとめ

この本は本当にスッキリするメッセージを発信しています。
「好きなようにしてください」なんて、思ってもなかなか言えません。

好きなようにしていいよ、って言っているのに、
なんて無責任なんだ!なんてお叱りを受けることもあります。
そう言うことなんです。

そこで怒ってしまうくらい、自分で自分のことを決めることができない。
誰かに決めてもらわないと、自分で責任を負うことが怖くてできない。
いい大人がそんな体たらくですからね。

これからの世界を背負って立つ、今の若者たちには、
ぜひ本書のメッセージを受け取って、
「好きなようにしてください」!!

 

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