魔法入門 カバラの密議 W・E・バトラー 著

魔法入門 カバラの密議 W・E・バトラー 著 大沼忠弘 訳

上記の本は、
Ⅰ.魔法 その儀式・効力・目的
Ⅱ.魔法使い その訓練と仕事

の2部構成となっています。
元々、バトラーさんが書いた2冊の本だったそうなので、分けて書きました。

 

第1部 魔法 その儀式・効力・目的

魔法、というと何をイメージするでしょうか?
空を飛んだり火を出したり。そんな感じでしょうか?

私も魔法について知り始めたときは、そんなイメージでした。
それと同時に、そんなバカな…と思っていました。
それでも魔法が使えたら?と憧れたものです。

現代における魔法とは、
太古より伝わる精神変容の秘法である、とのこと。

中身を読んでみるとわかりますが、
確かに魔法の基礎は、自分の意のままに精神を制御する方法のようです。

精神、というか無意識の領域へのアプローチですね。
呼吸とか儀式とか、そういった動作から精神へ作用させる技法。

 

そういった精神面へのアプローチ方法なので、
入門編で触れられている内容は
まずは自分の内面を磨くという観点の記述となっています。

では、自分の精神を制御できるようになったらどうなるのか?
火の玉が出せたり悪魔を召喚できたりするのか?

出来ると言えば出来る…かもしれない。
でも、そんなこと本気で発言したり儀式したりしてたら、
精神面での異常を疑われかねない…。

アストラル投射

本当の魔法には「アストラル投射」という技法があり、
心のスクリーンに映し出した形象を外界へ投射するというものがあります。

あります、って。実際どんなもんなのでしょう?
ルドルフ・シュタイナーが書いた本には、さも当たり前のように出てきますが。

我々肉体は、大いなる存在(イデア的なもの)の表象の1つに過ぎない
という考え方があります。
もう仏教チックです。

で、高次の存在たるアストラル界にあるものがアストラル体というもので、
そこの繋がるためには、精神を強靭にしなければならない。

低次元の肉体に囚われている我々の意識にとって、
アストラル界は情報量が膨大なので、現状の精神では耐えることが出来ない。
精神的な疾患を患う恐れがあると。

魔法が科学に近づくきっかけとして、フロイトやユング派の心理学が貢献しているそうです。
有名な「無意識」「潜在意識」ですね。

その、我々の意識では捉えどころのない無意識に繋がることで、
凄まじい効果を発揮しましょう、っていうのが魔法ということになる。

 

魔法と科学 自然へのアプローチ法の違い

西洋魔術の考え方なので用語などがどうしてもユダヤ・キリスト教なのですが、
大いなる存在とか神なんていうのは全世界で共通で、
それに繋がるチャンネルの違いが各宗教として形になっている、という事。

原始仏教の話にも似ている印象ですね。
精神修行の目的も、「空」に達するための手段だと思えば納得。

かつて数学も魔術の一分野だった、ということを考えれば、
魔法も科学も違いはないのかなあ、と落ち着いてしまいそう。

再現性を持たせるために儀式の手順を厳格に決めたり(魔法)、
論文で実験手順や条件を明示して再現実験ができたり(科学)。

いわば今の我々こそ、科学万能教の信者なのかも?
という視点で捉え直してみると面白いかも。

第2部 魔法使い その訓練と仕事

魔法使いになるための初歩的な訓練方法と、
それを活かした仕事について書かれています。

この本では、本来は秘密にされているべき内容も書かれているとのことで、
本格的な訓練内容についての記述が続きます。

また、魔法使いの仕事について、
魔法活動によって力を得る意図を、「仲間のために奉仕する」としなさい、
さもなければ低位の存在の奴隷となってしまう

と、書いてあります。
以下、本書の内容を要約してみます。

他者へ危害を加えることを目的とした、いわゆる黒魔術的なものも、
他者を癒すしたり助けたりすることを目的とした、いわゆる白魔法的なもの。

どちらも作用するものは一緒で、術者の意図によってそれらは使い分けられます。

魔法活動の結果は自分にも影響を与えるから、
そこをちゃんと考えてやるように、と注意されているようです。

魔法活動においては、物質的な存在を拠り所とすることは有用。
つまり「魔除け」というアイテムが、精神分裂を防ぐとのこと。
その魔除けは中古品はダメで、自分で作ったものが最高。

精神的に思い入れを持てるものを魔除けにしなさいよということですね。
他人が作ったものや中古のモノって、なんかイヤだもんね。

 

この本は、

結構秘密の訓練も公開している性質上、ワザと支離滅裂な構成にした。
しかし、この中から得るものを得て、
一人前の魔法使いになる足がかりを得られることを狙っている。

という。

巻末には各訓練の準備や基礎となる方法を3つほど記述されており、
本文中では「?」だった内容の理解を助ける内容となっています。

ちなみに、最後の付録に「弛緩と呼吸の訓練」という項があります。

呼吸を活用するところが、やはり精神面へのアプローチなんだなぁと
確信するポイントですね。

魔法と現代との関連

これを読んだとき、
催眠術の準備段階とかクォンタムタッチ等のヒーリング技法に似てるなぁ、
と思いました。

やはり精神、とくに潜在意識にアクセスするには
リラックスした(=変性意識)状態が有効なんだなあと。

考え方も納得の内容で、
完全に弛緩させ、呼吸を楽に深く繰り返すことにより、体感覚を消失させ云々…とあり、
魔法活動は精神活動そのものなんだと、いろいろと繋がりました。

やっぱり人間の感じる事、考えることは世界共通なのかなあと思う次第です。
身体を思い通りにコントロールするには精神面の充実が必須。

精神面が発達すれば、確かに
現実世界への影響=魔法
として、何か影響を与えることができるのかもしれないですね。

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