FACT FULNESS 新型コロナウイルスのインフォデミックを乗り越えるヒント

FACT FULNESS
-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロランド著

「あなたの”常識”は20年前で止まっている!?」

本書は、世界で一般的に認識されている事実に関してデータを基に正しく捉えようとする習慣
を身につけましょう、という趣旨の本です。

本書の帯にも「あなたの”常識”は20年前で止まっている!?」と書かれており、
具体的には ”貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題−” について、

いわゆる先進国で認識されている、世界は依然としてひどい状態にあり年々悪化している…

という漠然としたイメージを否定し、本当は世界は段々と良くなってきている、と
データから理解できるようになっています。

この本がなぜ売れているのか

外出自粛が要請されてかなり日が経ちますが、書店ではこの本がいまだに売れ筋ランキング
上位に食い込んでいます。

情報の氾濫によって買い占めなどの混乱が起こっていますが、本を読むような冷静な方達は、
この本が提示する「データから世界を正しく捉える」という姿勢が実践できているのでは、
と思います。

インフォデミックと言われるようなことが問題となる中で、冷静に事実を捉えようとしたら、
自ずと本書に手が伸びる、ということにも繋がるのではと思います。

現在の状況(2020年4月6日現在)を乗り越えるために

昨今のコロナウィルスの蔓延に関して、世界中で感染者が爆発的に増加し、亡くなられた方も
日々増加の一途を辿っています。

しかしまだ日本国内では死者数がそこまで多くはない状態です。
にも関わらず、都市封鎖や医療崩壊といったことが騒がれています。

このままでは実態がそうであるとは限らないのに、先に恐怖やそれによって喚起された情報の
氾濫によって、本当に医療崩壊や都市封鎖という事態になりかねません。

いわゆるマスコミによる印象操作というような、恐怖を煽る情報の加工によって関心を引き、
メディア媒体の売り上げや視聴率を上げようとしていることも影響しています。

そんな中でも本書が提供する視点は、冷静に、まずはデータを基に事実を把握してみよう、
という姿勢を提案します。

現在の混乱の一因として、「インフォデミック(情報+流行の合成語)」による実態が伴わ
ない要素も多分に影響している、という見方があります。

感染防止の対策としての、”三密”を避けることやうがい、手洗い、消毒の徹底は、もちろん
行う必要があります。

その上で私たち一人一人が情報の氾濫に踊らされず、限られた医療資源を活用して、一人でも
亡くなる方を減らす方向へ動くことができるヒントが本書の視点にあります。

インフォデミックによる混乱は、軽症者または感染が疑われる症状のある方までもが次々と
病院に殺到する事態を招いてしまいます。

そして結果的に、平時なら助けられる重症者が必要な医療を受けられずに亡くなる、という
事態が起こり得てしまいます。

日本は幸い、まだそこまでの状況ではありません(2020年4月6日時点)。

今、悠長に本なんて読んでいる精神的余裕はないのかもしれませんが、外出自粛を求められて
時間が余っている方こそネットの氾濫した情報から離れて、こういったデータに基づく判断を
勧める本を読んでみるのも、ご自身や社会全体を救う行動に繋がりうるはずです。

データを基に世界を正しく見る習慣

本書を読んだからといって、いますぐに世界的大流行(?)が収まるかと言えば、
それは難しいかもしれません。

すでに現実として医療崩壊が起こっている国では、認識を改めるより現実的な対策を打った
方がいいに決まっています。

しかし日本国内に限ってみれば、まだ情報が先行して人々の恐怖や不安による混乱が主です。

昨今の情報技術の発達やSNSの発達、通信機器や通信速度、普及率の向上により、情報伝達が
活発になっているせいもあり、過去のSARSやMARS、新型インフルエンザの時よりも混乱が
より強化されています。

実際の現実が今、どれほどの感染の広がりがあるのかすでに追いきれていないところもある
ようですが、発症して重症化する方がまだ受け入れ可能な範囲に収まっています。

この状態のうちに、少しでも多くの人に正しい情報を取捨選択できるだけの視点を提供し、
一人一人が冷静に「事実はどうなのか」と多くの意見や予測を排除した、データに基づく
判断ができるようになればなあと思います。

実態が無いのに物資不足が起こるなんて、情報の伝達速度が上がっても人々のリテラシーは
全然成長していないってことの証明にもなってしまっていますね。

新型コロナウィルスが収束したら、情報の取捨選択の判断についても向上させていく何らかの
対策を行った方がいいようにも思います。

まとめ

本書についての記述が少ないので、読後感について最後に記述します。

おそらく20年前(読者の多くが小学生〜大学生のいずれかだった頃)に授業などで教わった
発展途上国の状態を、今でも世界の現実だと思っているケースが多いようです。

とてもわかりやすい例として、世界で電気を使える人の割合はどのくらいか?という問いに
対して、20%、50%、80%と選択肢が提示されています。

多くの人が、50%くらいかな?と答えます(私も本書を読む前はそう思いました)が、
本当は80%くらいの人が世界で電気を使えています(十分かどうかは別)。

また、少し前に話題になった(気がするのは私だけ?)マサイ族がスマホを使いこなしている
事実についてだとか、
カロリーベースで見たら世界人口を十分に養えるだけの食料はすで生産されている、とか、
さらには飢餓で苦しむ子供達の数も、年々減少してきている、という、
世界が少しずつよくなってきているんだ、というような事実を認識する”視点”が
本書を読むと得られます。

そういった意味で、今まで固定概念と思い込んでいた、世界は貧困と飢餓に塗れている、と
いう認識を、少しずつ改めて、自分で事実を確認していこう、それまでは盲信しないでおこう
という姿勢を持つことができるようになります。

そういった意味で、本書を今読むことが、新型コロナウィルスによるインフォデミックを
乗り越えるきっかけになるんじゃ無いかな、と思うのです。

事実、本書が今でもまだ売れているということは、そうした希望を持ちうる兆しだと思って
いいのでは無いかと、私は考えています。